TCAP’S VIEW & INSIGHTS #005 ソーシャルビジネスの6つのパターンとは / パターン化によって新たなアイデアを | TCAP SOCIAL BUSINESS REVIEW online

TCAP’S VIEW & INSIGHTS #005 ソーシャルビジネスの6つのパターンとは / パターン化によって新たなアイデアを

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ソーシャルビジネスはパターン化できる

ソーシャルビジネスと一口に言っても様々なパターンがある。
例えば企業とNPOが協働して行うコーズマーケティングも広義のソーシャルビジネスと言えるし、NPOがある社会問題を解決する為に自らサービスを提供するケースもあるはずだ。

ソーシャルビジネスを立ち上げようとしている社会起業家、企業の中でソーシャルビジネスの立ち上げを命じられたマネージャー、新たなソーシャルビジネス立ち上げを検討しているNPOの経営者… こうした人たちは、自らソーシャルビジネスモデルを描き、実行する使命がある。

ソーシャルビジネスモデルを描くためには、特別なスキルとナレッジが必要となる。ただ、そのスキルとナレッジは特別ではあるが、理解・習得するのは決して難しくはない。今回は、そのソーシャルビジネスモデルを描く為のスキルとナレッジのうちの一つをご紹介したい。

ビジネスは世の中に数えきれないほど存在するが、ビジネスモデルはある程度パターン化することができる。例えば、Eコマースサイトは数えきれないほどあり、それぞれが異なるビジネスとして成り立っているが、それらをビジネスモデルパターンとしてとらえた場合、いくつかのEコマースサイトは同じビジネスモデルのパターンを採用していることがわかる。
これはソーシャルビジネスにおいても同様だ。ソーシャルビジネスモデルのパターンとその特性を知ることができれば、ソーシャルビジネスモデルのデザインにスピード感をもって取り組むことができるはずだ。

ソーシャルビジネスモデルのパターンが同じか否かを判断する為には、まずソーシャルビジネスモデルとは何かを定義する必要がある。
TCAPではソーシャルビジネスモデルの構成要素を次の図の通り定義し、これらを一つのフレームワークとして、ソーシャルビジネスモデル・フレームワークと呼んでいる。

フレームワーク

※ソーシャルビジネスモデル・フレームワークについての詳しい説明は、 – TCAP ソーシャルビジネスモデル・フレームワークを解説 をご参照いただきたい。

ここで、図に記載されているソーシャルビジネスモデルの構成要素を簡単に説明したい。
ソーシャルビジネスモデル・フレームワークは大きく「社会問題解決モデル」と「ビジネスモデル」に分けることができる。
簡単に説明すると、「社会問題解決モデル」とはどのような社会問題に、どのように取り組むのかを定義するもので、「ビジネスモデル」とはそれをビジネスとしてどのように成り立たせるのか(顧客は誰で、提供する価値は何か)を定義するものだ。

フレームワーク2

まずは社会問題解決モデルの各要素を説明する。

社会問題解決モデル
1.解決したい社会問題
このブロックでは、このソーシャルビジネスによって、どのような社会問題の解決を目指すのかを定義する。
ソーシャルビジネスは基本的に、社会問題の解決が第一の目的となる為、このフレームワークを使用してソーシャルビジネスモデルをデザインする際は、原則、このブロックから先に埋めることになる。

2.社会問題解決の対象者
このブロックでは、「1.解決したい社会問題」で定義した社会問題に困っている人々のうち、このソーシャルビジネスでは”誰を”対象とするのかを定義する。
もちろん一度に全ての人々を救うことができれば、それに越したことはないが、現実的には一度に全ての人々に手を差し伸べることは難しい。
そう考えると、ある程度対象者を絞り込むことが必要となる。

3.提供する社会価値
ここでは、「2.社会問題解決の対象者」に対して、どのような価値を提供するかを定義する。
通常、ビジネスの世界では、顧客価値提案、提供価値と言った言葉を使うが、ここではこれらの言葉と区別する為に、”社会問題を解決する為に提供する価値”の意味で、「提供する社会価値」という言葉を使いたい。注意したいのは、提供するモノやサービスにフォーカスしすぎないことだ。

4.デリバリーチャネル
このブロックでは、「3.提供する社会価値」で定義した価値をどのように「2.社会問題解決の対象者」に届けるのかを定義する。

5.社会
さて、次に登場するのは「社会」というブロックだ。
どのような社会問題解決モデルにおいても、自らが取り組む社会問題について社会に対して発信していく事は、非常に重要である。

もちろん誰にも何も発信せずに、密かに社会問題に取り組むことも可能ではあるが、問題を社会全体で共有し、個人・個社が取り組む問題としてではなく、社会全体で取り組むべき問題として世の中に認識させることは、ある意味で社会問題解決に取り組む者の使命と言って良い。

社会問題はその性質上、社会全体の意識を変えることが非常に重要となることが多い。その為、ソーシャルビジネスモデル・フレームワークでは、「社会」というブロックを設けて、どのようなセグメントに向けて、どのような内容を発信するかを定義する。

6.コミュニケーションチャネル
社会に対する発信内容を決定したら、それをどのようなコミュニケーション媒体で発信するかを定義する。例えば、SNSやインターネット広告、場合によってはマスメディアの活用もあり得る。

7.主要な活動
このブロックでは、「3.提供する社会価値」を実現する為に、どのような活動が重要となるかを定義する。ソーシャルビジネスには、それを実現するために鍵となる活動があるはずだ。あるソーシャルビジネスでは、複数の関係者をまとめ上げ、複雑なタスクを円滑に進めるためのプロジェクト管理が重要になるかもしれないし、また別のケースでは、行政機関との調整や交渉が重要になるかもしれない。

8.経営資源
最後に必要な経営資源を定義する。一般的に経営資源とは、ヒト・モノ・カネ(・情報・時間)と言われている。

カネは重要な経営資源であるが、ソーシャルビジネスモデル・フレームワークでは、”カネ”について切り出して考えることになっている。

再度、フレームワークの図を見て頂きたい。
”カネ”の欄が、「社会問題解決モデル」と「ビジネスモデル」にまたがっている事に気づいて頂けただろうか。

経営資源のうち、特に資金に関しては、「社会問題解決モデル」と「ビジネスモデル」で統合して考えていく事になる。これについては、後段の「ビジネスモデル」の部分で合わせて詳しく説明していく。

9.資金提供
ここでは、資金提供の流れを整理する。例えば、ある企業から多額の協賛金が望める場合、行政から助成金が受け取れる場合などは、ここに記載する。注意してほしいのは、ここに記載する項目はあくまで、この後説明する「顧客」以外から得られる収入である。

以上が「社会問題解決モデル」の構成要素となる。

10.顧客
ここでは、誰を「顧客」としたビジネスを展開するかを考える。
どのような顧客をターゲットとするか、そのプロファイルを詳細に記述する項目だ。
当然、「顧客」=「社会問題解決の対象者」となる場合もあるが、これは後述するソーシャルビジネスモデルのパターン定義にもかかわる為、ここでの説明は避けたい。

11.提供する顧客価値
提供する顧客価値とは、「10.顧客」で定義した顧客セグメントに対して、どのような価値を届けるのかということだ。詳しい書き方は、記載例(衛生的な水を途上国に届けるプログラム)を参照してほしい。

12.販売チャネル
このブロックでは「11.提供する顧客価値」をどのように「10.顧客」に届けるのかを定義する。

13.顧客との関係
顧客とどのような関係を築くかをここで定義していく。

14.主要な活動
ここでは、このビジネスモデルを実現する為に、カギとなる活動を定義する。


15.経営資源
このブロックでは、主要な経営資源を定義する。
先に述べたように、一般的に経営資源はヒト・モノ・カネ(・情報・時間)とされている。

そのうちカネについては、社会問題解決モデルと統合して考えることが必要であると述べた。これは、社会問題解決モデルを動かす為の資金がどこから集められるのかを、ソーシャルビジネスモデル全体で考えるということだ。

例えば、顧客に商品を販売して事業収入を得るケースでは、その事業収入が社会価値を生み出す経営資源として機能することになる。

以上が「ビジネスモデル」の部分の説明となる。

TCAPがソーシャルビジネスモデル・フレームワークと呼んでいるものは、以上の15の要素でソーシャルビジネスを定義するものだ。

(実際にフレームワークを埋めると以下のようなイメージとなる)

サンプル

ソーシャルビジネスモデルのパターンを学ぶ上で前提となる、ソーシャルビジネスモデル・フレームワークを簡単に説明してきたが、このフレームワークの説明は以下の記事に詳しく記載している。

今回の説明では説明が不足しており、わかりにくい部分もあったはずだ。
適宜、以下の記事を参照していただきたい。


#2「ソーシャルビジネスをデザインする」
– TCAPが提唱するソーシャルビジネスモデル・フレームワーク
– TCAP ソーシャルビジネスモデル・フレームワークを解説
– TCAP ソーシャルビジネスモデル・フレームワークの活用方法

さて、ここからいよいよソーシャルビジネスモデルのパターンを見ていきたい。
パターンを決めるのは、ソーシャルビジネスモデルの1~15の構成要素のうち、「社会価値提供者」と「顧客価値提供者」、「社会問題解決の対象者」と「顧客」だ。

<次のページへ続く>



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