社会起業こそ”リーンに”立ち上げよ / リーンスタートアップと社会起業 注意すべき2つのポイント | TCAP SOCIAL BUSINESS REVIEW online

社会起業こそ”リーンに”立ち上げよ / リーンスタートアップと社会起業 注意すべき2つのポイント

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社会起業は困難だ
社会起業家は社会問題を解決しつつ、適切な経済価値を生み出さなければならない。
適切な経済価値が生み出されなければ事業は持続しないし、社会価値へのインパクトも限定的になる。また、ビジネスとしては儲かるけれど、生み出す社会価値が小さい場合、それは社会起業と呼べなくなるかもしれない。
 
社会起業家が目指すべきものは、あくまで社会価値の最大化と経済価値の最適化である。
 
社会価値最大化と経済価値の最適化を実現する困難な道のりを、如何に確実に切り抜けるか。世界中の社会起業家が頭を悩ませているはずだ。
  
本稿では、社会起業家がとるべき起業プロセスについて考えていく。

社会起業の特徴
まず、社会起業の特徴を再度洗い出してみたい。
ポイントは大きく以下の2つあるとTCAPは考える。

1.難易度が高い、解が見えづらい
社会起業は社会価値創出モデル、経済価値創出モデルの二つを作り上げなければいけない為、検討すべき要素が多岐にわたり、難易度が高く正解を見出しづらい。
 
※社会価値創出モデル=社会問題に対して社会的価値を提供するモデル=社会問題を解決するモデル
 経済価値創出モデル=顧客に対して経済価値を提供するモデル=顧客に商品やサービスを販売し収益を獲得するモデル

2.資金が無い
社会起業家の多くは潤沢な資金を持っていない上、社会起業家への投資は営利の世界ほど盛んではない。
 
つまり、難易度の高い事業を限られた資金で立ち上げなければいけないということになる。
 
「難易度が高い」ということはつまり「失敗する確率が高い」と言い換えることができる。ここで言う「失敗」とは必ずしも事業そのものが頓挫するという意味での「失敗」に限らない。
 
ターゲット顧客を見誤る、価格設定を見誤る、そもそもの提供価値の仮説が間違っている、社会問題とソリューションの整合性を見誤る等、検討すべき要素が多いが為に、個別の局面での判断ミスを起こしやすいという意味でもある。

決して「社会起業の難易度 > 通常の起業の難易度」と言いたい訳ではない。
通常の起業との比較は別として、社会起業は社会価値/経済価値の両側面からの検討が必要であり、ソーシャルビジネスモデルで検討すべき要素が多岐に渡る為、事業立ち上げの難易度が増す可能性が高い、という事をここでは理解しておいて頂きたい。
 
社会起業の二つ目の側面である「資金の少なさ」にも触れておきたい。

現状、社会起業の世界に十分な資金が流入しているとは言いがたい。インパクト・インベストメントやクラウドファウンディングなど、社会問題解決と資金調達の新たな形が出現してはいるものの、営利の世界と比べると、その規模は十分とはいえないだろう。
 
リーンスタートアップとは
さて、このような特徴を持つ社会起業は、一体どうすればもっと上手くいくのだろうか。
 
先に結論を言ってしまうと、TCAPは社会起業と相性の良い方法論の一つとして、「リーンスタートアップ」に注目している。
 
リーンスタートアップとはエリック・リースが提唱する起業のフレームワークで、仮説検証を繰り返しながら事業を立ち上げていくやり方だ。
 
MVP(ミニマム・バイアブル・プロダクト Minimum Viable Product)と呼ばれる簡素な試作商品・サービスを低コストで構築し、想定顧客に提供してみる。MVPはその商品やサービスの成功のカギを握る機能や特徴に絞った作りとし、こちらが想定した仮説が正しいのかを検証するのだ。
 
例えば、THE LEAN STARTUP(エリック・リース著)という本にある、ZAPPOSの例が分かりやすい。
 
ZAPPOSは「顧客は靴をオンラインで購入する」という仮説を立てた。
そこで、靴屋に出かけ商品の写真を撮らせてもらい、それをウェブサイトに掲載。
顧客から注文が入ったら、その靴屋からZAPPOSが商品を購入し顧客に届ける ― 
 
この実験は成功し、ZAPPOSは「顧客は靴をオンラインで購入する」という仮説を、ほぼコストをかけずに実証したのだ。
 
ZAPPOSは始めから立派なウェブサイトを作るのではなく、低コストで簡単なサービスを立ち上げ、靴のオンライン販売事業を成功させるうえで最も重要な仮説である「顧客は靴をオンラインで購入する」という仮説を実証した。
 
リーンスタートアップの特徴は、この”最も重要な仮説”を早期に、かつ低コストで検証するところにある。
 
リーンスタートアップの方法をとれば、立派なウェブサイトを構築し、靴の在庫を大量に仕入れ、広告を打ち、物流網を構築して、いよいよサービスを立ち上げたら全く売れなかった、という失敗はあり得ない。

※リーンスタートアップの特徴はMVP以外にもいくつかあるのだが、ここでは詳述は控える。詳細はエリック・リース著の「The Lean Startup」にて。
 
<次のページへ続く 「社会起業とリーンスタートアップの相性」>



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