TCAP’S VIEW&INSIGHTS #007 / ①<改訂版>ソーシャルビジネスモデル・フレームワーク / 今、ソーシャルビジネスモデル・フレームワークが必要な訳 – ソーシャルビジネスに特化した革新的フレームワーク | TCAP SOCIAL BUSINESS REVIEW online

TCAP’S VIEW&INSIGHTS #007 / ①<改訂版>ソーシャルビジネスモデル・フレームワーク / 今、ソーシャルビジネスモデル・フレームワークが必要な訳 – ソーシャルビジネスに特化した革新的フレームワーク

TCAP, ビジネスモデル/戦略/組織
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例えば、上司から「新しい事業のビジネスモデルを考えてくれ」と指示されたあなた。
一週間考え抜いた揚句、「こんな機能を持った新製品を作りましょう。想定顧客は20代~30代の男性です!販売はオンラインを中心に、プロモーションはSNSを使って…」等と言って、新製品のコンセプトや必要とされる機能をまとめたスライド、想定顧客を示すスライドや、販売・プロモーションの方針が書かれたスライドを上司に見せる。

すると上司がこう言う。
「俺が考えてくれと言ったのはビジネスモデルだ。何を誰に販売するのかは分かったが、収益モデルについてはどうなんだ?あと、オンラインで販売するなら物流はどうする?」

「ビジネスモデルだって言っただろう。製品の詳細な機能は現時点では必要ない。ビジネスの全体像の絵が欲しいんだ。」

このケース。そもそも「ビジネスモデル」という言葉に対する上司と部下の認識が合っていないことが問題だということに気づいていただけただろうか。

この二人の間で、「ビジネスモデルとはXXXである」という共通理解があったのなら良いが、そうでない限り「ビジネスモデルを考えてくれ」は「中世ヨーロッパについて答えよ」と同様、論点として不十分だ。

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また、たちが悪いことに「ビジネスモデル」という言葉は、”何となく理解しているつもり”な人が多い言葉の代表格であることだ。ビジネスモデルと言われれば、何となく「ビジネスの仕組みのこと」とか、「儲ける仕組みのこと」「ビジネスの全体像」「誰に何を売るかの仕組み」と言った答えが返ってきそうだが、明確に「ビジネスモデルはAとBとCとDの要素からなるものだ」と言える人は少ないのではないか。

それもそのはずで、ビジネスモデルは多くの定義が存在し、今も議論が続いている言葉なのだ。
だからこそ、「ビジネスモデル」を考えるならば、「ビジネスモデル」とは何なのか。論点を明確にしなければいけない。

ソーシャルビジネスにおいても同様のことが言える。ソーシャルビジネスモデルを考える前に、「ソーシャルビジネスモデルとはそもそも何なのか」、「何について考えれば漏れが無いのか」を定義しておく必要がある。
 
さらに言えば、営利目的のビジネスよりも、社会価値・経済価値両方を生み出すことが求められるソーシャルビジネスの方が検討すべき要素が多い為、より難解であるといっても良い。これが、ソーシャルビジネスモデル特有の「難しさ」なのだ。

ビジネスの世界において、「ビジネスモデル」という言葉は”何となく理解しているつもり”な人が多い言葉と述べたが、それでも「ビジネスモデル」の定義が存在しているだけマシだ。(例えば「ホワイトスペース戦略 マーク・ジョンソン著」「ビジネスモデルジェネレーション アレックス・オスターワルダー/イヴ・ピニュール著」)
 
TCAPの知る限り、「ソーシャルビジネスに特化したビジネスモデル」=「ソーシャルビジネスモデル」の定義は、本稿以外にほとんど存在しないと言ってよい。
儲けることが目的の「ビジネス」と社会価値を最大化し同時に経済価値を生み出すことが必要とされる「ソーシャルビジネス」では、当然ビジネスモデルに対する考え方も異なるはずだ。

TCAPは、例えばビジネスモデルジェネレーションで提唱されているビジネスモデル・キャンバスは、ソーシャルビジネスに応用することは不可能ではないが、その有効性は不十分であると考えている。「ビジネス」と目的の異なる「ソーシャルビジネス」には、異なる「ビジネスモデルの定義」が必要だ、というのがTCAPの見解である。
 
2.仮説が不明確
別稿でソーシャルビジネスは、リーンスタートアップを採用すべきと書いた。
社会起業こそ”リーンに”立ち上げよ / リーンスタートアップと社会起業 注意すべき2つのポイント

構想段階では正解が見えづらいソーシャルビジネスは、仮説検証型で立ち上げるべきとTCAPは考えているが、ソーシャルビジネスモデルの論点が不十分だと、この仮説検証もうまくいかない。

仮説検証型のソーシャルビジネス立ち上げとは、簡単に言うと次のようなイメージだ。

最初に「Aという製品を、Zという顧客層に販売する」という仮説を構築し、実際に製品の試作版をZの顧客層に販売してみる。確かに売れれば仮説は正しかったということになるが、売れなければこう考える。

1.「Zという顧客層が課題を持っているのは分かったが、Aという製品がソリューションとして正しくなかったか」

2.「そもそもZという顧客層が製品を必要とする課題意識を持っていなかったか」

分析の結果、Zという顧客層の課題を解決する為には、Aではなく実はBという製品が求められていたという事が分かった―

これこそ仮説検証型だ。

そして仮説検証をする為に必要なのは、「何についての仮説を検証すべきか」という視点だ。
たとえ論点が曖昧であっても、素晴らしいソーシャルビジネスモデルのアイデアは考え付くかもしれない。
しかし、仮説検証の難易度は上がる。

ソーシャルビジネスモデルの定義が曖昧であるという事は、何についての仮説を検証すれば良いかという基準が曖昧であるという事に他ならない。

「ソーシャルビジネスモデルとはAとBとCとDの要素から構成されるものだ」という事を知っていれば、
「まずはAが本当にAなのか検証しよう」
「次にBが本当にBで正しいか検証しよう」
という手順を踏むことが出来る。

ソーシャルビジネスモデルの定義が無いと、実際にソーシャルビジネスを立ち上げて上手くいかない場合、
例えば顧客、製品、販売チャネル・・・と言ったように、要素ごとの仮説検証ができないことになる。

仮説検証のよりどころを失うことになるのだ。

<次のページへ続く「ソーシャルビジネスフレームワークの概要」>



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