Halcyon Incubator / ソーシャルチェンジを加速するインキュベーター | TCAP SOCIAL BUSINESS REVIEW online

Halcyon Incubator / ソーシャルチェンジを加速するインキュベーター

その他, 社会問題
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ソーシャルチェンジに特化したインキュベーター
アメリカ・ジョージタウンの歴史的な建造物であるHalcyon House.
1787年に、初代アメリカ合衆国海軍長官であるベンジャミン・ストッダートが建てたフェデラル様式の家だ。
 
今も残るこのHalcyon Houseに、ソーシャルチェンジを支援するインキュベーターがある。
S&R Foundationという非営利組織のプログラムの一つである、Halcyon Incubatorだ。

Halcyon Incubator

Halcyon Incubatorは12~16か月で社会起業家を支援するプログラムを実施している。
プログラムは大きく3つのフェーズに分かれており、最初のフェーズではHalcyon Houseに居住しながら4か月間を過ごす。Halcyon Houseに住み、Halcyon Incubatorのスタッフやコンサルタントの支援のもと、事業立ち上げに向けて働くことになるのだ。

この間、参加者はビジネス、フィランソロピー、政治など多様な分野のリーダーのセミナーを受けたり、ネットワーキングのイベントに参加することも可能だ。
 
次のフェーズでは、Halcyon Houseに住むことはなくなるが、無料で仕事場として利用することが出来る。最後のフェーズになると参加者はHalcyon Houseから離れることになるが、そのネットワークを利用し続けることは可能だ。
 
ちなみに、最初のフェーズの終了時にデモデーと呼ばれる、社会起業家が自身の事業内容を投資家やビジネス/政治/非営利セクターの代表にプレゼンテーションをすることができる機会が設けられている。
 
社会起業家にもインキュベーター、アクセラレーターが求められている
似たような活動を行う組織としてアクセラレーターのY CombinatorやTechstarsなどが有名だ。こうしたアクセラレーターやインキュベーターはテクノロジー系(IT系)のビジネスがメインだったが、Halcyon Incubatorはソーシャルチェンジ、社会起業家が主なターゲットになる。

テクノロジー系スタートアップであれば、成功すれば大きなリターンが見込めるが、ソーシャルチェンジはそもそも経済的価値創出を第一に考えていない為、成功しても経済的リターンは小さくなる。すると、儲けることが目的である投資家から見るとソーシャルチェンジや社会起業家に投資することは非合理的だ。
 
しかし、社会起業家においても営利目的のスタートアップと同様に、立ち上げの過程で人件費、オフィス賃料、パソコン等の諸経費やその他、多かれ少なかれ費用が必要であることは間違いない。また、戦略の知識やマーケティングの知識など、専門的知識に基づいた適切な助言や支援が必要であるという意味でも、営利目的のスタートアップと社会起業家の間に大きな違いはない。
 
こうした社会起業家を支援するアクセラレーターやインキュベーターは、営利目的のそれと比較するとまだ数は多くない。しかし、今後ソーシャルビジネス市場が活性化し、世の中に社会起業家を志す人達が増えれば、こうしたアクセラレーターやインキュベーターがより必要とされるはずだ。
 
(文/五十嵐裕一)


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