TOMS Marketplace / TOMSの仕掛ける社会貢献型プラットフォームビジネス | TCAP SOCIAL BUSINESS REVIEW online

TOMS Marketplace / TOMSの仕掛ける社会貢献型プラットフォームビジネス

ビジネスモデル/戦略/組織, 未分類, 社会問題
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One for Oneで有名なTOMS
TOMS Marketplaceとは、2013年にTOMSの創業者が立ち上げたECプラットフォーム。社会貢献を行う様々なアパレルブランドの商品を購入することができるウェブサイトだ。
 
ご存じない方のために、今一度TOMSという企業について説明しておく。
 
TOMSは、靴やアイウェアを販売するブランドだが、そのビジネスモデルに特徴がある。
TOMSの靴を一足購入するごとに、一足が靴を必要とする子供たちに寄付される仕組みなのだ。彼らはこれを、”One for One”と表現している。

このコンセプトが共感を呼び、2006年の創業以来、3,500万足を子供たちに寄付するまでに成長している。

TOMSは、社会問題解決をビジネスを通じて実現する、ソーシャルエンタープライズ(社会的企業)といって良い。彼らのビジネスモデルを分析し、本誌上で論ずるだけでも非常に有益なことではあるが、今回はそのTOMSが乗り出した「別の取り組み」について話をしたい。

さて、その「別の話」が冒頭のTOMS Marketplaceなのだが、この事業、非常に興味深い。

今、エシカルファッションの時代
昨今、世の中にはエシカルファッションなどと呼ばれる、社会問題の解決を謳ったアパレルブランドが増えてきている。

これら、社会問題解決や社会貢献を標榜するブランドの多くはベンチャー企業である。ベンチャー企業であるが故、当然、他の多くのベンチャー企業が抱える課題を、このエシカルファッションのベンチャー企業も持っている。

想定される問題としては、一般的には大きく以下の4つくらいはあげられるだろう。
1.経営資源の問題
・事業を立ち上げ、成長させるための資金や人材が不足など
2.販売の問題
・販路がない、参入が難しい など
3.商品開発・製造
・事業立ち上げ当初は、製造ロットが小さく、原価が割高 など
・そもそも生産工場の確保が難しい(ハンドメイドの場合は別だが)
4.調達
・ロットが小さいため、安価な素材の確保が難しい など
 
当然目指すビジネスモデルによって、上の問題が該当しない場合も多い。
例えば、手作り一点ものの洋服であれば、製造ロットなどの問題点はあまり関係ないし、小規模で受注生産を基本とすれば、経営資源もそれほど多くは必要ないかもしれない。

ただ、作ったモノは必ず売らなければビジネスにならない。何とか良い素材を安く調達し、それなりの原価で製造できたとしても、売れないことにはビジネスとして成り立たない。
恐らく販売に関する問題は、多くのエシカルファッションのベンチャーに共通するものであろう。

プラットフォームビジネスにおけるTOMSの強み
この問題に解決策を提供するのが、TOMS Marketplaceだ、といえる。
このMarketplaceで商品を出品することで、実際に店舗を出店したり、自社でECサイトを立ち上げなくとも、販路を確保することが出来る。Amazonや楽天経由で販売することも可能だが、Amazon,楽天とTOMS Marketplaceの決定的違いは、その顧客層にある。

TOMSの顧客は、当然、社会貢献や環境問題に関心の高い顧客層が多くなる。もちろん、純粋にTOMSのデザイン性や機能面に惹かれて顧客になる人々もいるだろうが、TOMSの企業としてのビジョン、社会性の高いブランドのコンセプトに共感している顧客が多くいるはずだ。そのTOMSが運営するMarketplaceには、他のエシカルファッションにも関心を持ちやすい顧客層が集まることになる。エシカルファッション企業からすると、自社の商品に関心を持ってくれる消費者が多く訪れるECサイトは魅力的なはずだ。

この点から、TOMS Marketplaceは、売り手と買い手をつなぐ、魅力的なプラットフォームと言える。

プラットフォーム型のビジネスが成功する為には、当然、プラットフォームの複数の参加者(この場合は、エシカルファッションと消費者)が、一方でも欠けてしまってはならない。Marketplaceに参加する企業数が少なければ、消費者は集まりづらいし、消費者が集まらなければ企業も出店する価値が無い。

まさに鶏と卵の関係ではあるが、TOMSはプラットフォームに「消費者を集める」という点において、他社にない強みを持っている。それは、前述の通り、すでにTOMS自体が社会性の高いビジネスモデルを実現し、エシカルファッションに関心が高いであろう顧客層に対してある程度の知名度を持っている点だ。

今後のエシカルファッション市場の動向次第では、既存のEC関連企業が参入しないとも限らない。
今後のTOMS Marketplaceの動向は注目に値するだろう。


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