企業とソーシャルビジネス / ソーシャルビジネス実現の5つのポイント | TCAP SOCIAL BUSINESS REVIEW online

企業とソーシャルビジネス / ソーシャルビジネス実現の5つのポイント

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緑と空

 
2.社会的価値の目標設定
ソーシャルビジネスにおける目標やゴールをどこに置くかも非常に重要な検討事項になる。
 
通常ビジネス上の目標と言えば、売上、利益、コスト等の指標がすぐに思い浮かぶが、ソーシャルビジネスではこれらの指標に加えて、社会的価値を測る指標を目標として設定しておく必要がある。
 
ここで、売上、利益等の経済的価値に関する目標と、社会的価値に関する目標をどう位置づけるかは議論になるだろう。

あくまで、売上、利益などの経済的価値を最上位の目標とし、経済的価値実現の為に、社会的価値を実現するという位置づけにするか、社会的価値そのものを最上位の目標とするか。

我々の基本的なスタンスは、「本来ソーシャルビジネスは、社会的価値の創出を最上位の目標と位置づけるべき」であるが、これは企業の置かれた状況次第とも言える。そして、当然ながら社会的価値を事業活動の最上位の目標とするためには、マネジメントの理解が不可欠となる。
  
いずれにしても、企業の中でソーシャルビジネスを実現する為には、社会的価値創出の目標を定義しておく必要があることは変わらない。

3.組織の独立性
組織も大きな論点になる。
 
ソーシャルビジネス立ち上げの為に、新たなミッションを持った新たなチームを立ち上げるのか、あくまで既存の組織の枠組みを壊さずに考えるのか。
ソーシャルビジネスを担う部署は、独自の権限を持たせるのか。

以上のような論点が考えられる。
 
我々は、ソーシャルビジネスを担う組織は、独自の権限を与えられた、独立した組織であるべき、と考えている。
 
独自の権限が与えられていない場合、通常のビジネスと同じ指揮命令系統から、指示が下されることになる。場合によっては、ソーシャルビジネスそのものを覆すような、経済的価値最大化のみを念頭に置いた指示が下されることもあるかもしれない。このような場合、ソーシャルビジネスが本来の意義を失い、失敗に終わる可能性が高くなってしまう。

また、当然、ミッションやビジョンが通常のビジネスと異なる為、既存事業とは独立した組織でないと、運営は難しいだろう。

4.経営資源の配分
社内で適切な経営資源の配分を受けられない場合、ソーシャルビジネスを成功させることは難しい。ソーシャルビジネス立ち上げプロジェクトのメンバーが、既存事業の運営と兼務している場合や、新たに立ち上げるソーシャルビジネスに適切な予算が付かない場合を想像してもらいたい。
 
マネジメントがソーシャルビジネス成功にコミットしていれば、適切な経営資源の配分を得られる可能性もあるが、多くの企業ではソーシャルビジネス立ち上げ当初から、十分な経営資源が投入されない可能性もある。
 
もちろん、社内の関係者にソーシャルビジネスに対する理解を得て、十分な経営資源の配分を受けるかを考えるべきである。しかし、それと共に、「ソーシャルビジネスはそもそも十分な経営資源の配分を受けられない」という前提で進めざるを得ないのであれば、如何に少ない資源で立ち上げるかを考え抜くことも重要だ。
 
本稿では深く説明はしないが、これに対する解の一つが、リーンスタートアップであると言える。
”社会起業こそ”リーンに”立ち上げよ / リーンスタートアップと社会起業 注意すべき2つのポイント”
 
5.戦略・ビジネスモデル立案
ソーシャルビジネスには、通常のビジネスとは異なる戦略・ビジネスモデルが必要となる。経済性のみを追求すればよかった通常のビジネスと異なり、経済的価値と社会的価値の二つを考慮する必要があるソーシャルビジネスは、簡単に言うと考えるべき要素(社会的価値)が通常より一つ多い。
 
当然、一般的な戦略立案・ビジネスモデル立案と、ソーシャルビジネスの戦略立案、ビジネスモデル立案の方法は異なる。(当然、共通する部分も多いが)

ソーシャルビジネスにおける戦略とは何か、ソーシャルビジネスモデルとは何か、を十分に理解していない場合、通常のビジネスの戦略・ビジネスモデルのフレームワークを無理矢理ソーシャルビジネスに当てはめようとする、等の事態が発生することになる。

仮にソーシャルビジネスの戦略とは何かを十分に理解している場合でも、組織の中で如何にその戦略に対する理解を醸成するかが、難しい課題となるだろう。「そもそもソーシャルビジネスにおける戦略とは」といった根本的な定義から理解を促す必要がある為、戦略が浸透していくまでにそれなりの時間を要するはずだ。
 
以上が、企業がソーシャルビジネスを実現する上で、考慮すべき主要なポイントである。もちろん、あらゆる企業にすべてのポイントが当てはまるわけではない。その企業が置かれた状況によって、どのポイントを重視すべきかを見極めることも重要となる。
 



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