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TCAP’s VIEW & INSIGHTS #2 /ソーシャルビジネスをデザインする – TCAP ソーシャルビジネスモデル・フレームワークを解説

TCAP, ビジネスモデル/戦略/組織
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“ビジネスモデル”とは
ここからは、ソーシャルビジネスモデル・フレームワークの下の段にあたる「ビジネスモデル」を説明していく。

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基本的には、前回のコラムで説明したビジネスモデルキャンバスの考え方がベースとなる。
フレームワークは以下の6つの要素で構成される。

1.顧客(Customer)
2.提供する顧客価値(Customer Value Proposition)
3.販売チャネル(Sales Channel)
4.顧客との関係(Customer Relationship)
5.主要な活動(Activity)
6.経営資源(Resources)

以下、社会問題解決モデルの説明で使用した「衛生的な水を途上国に届けるプログラム」の例を用いながら説明をしていきたい。

今回は、衛生的な水を途上国に届ける為にミネラルウォーターメーカーと協働し、ペットボトル入りのミネラルウォーター一本販売につき、10円が井戸掘りプログラムに寄付される、いわゆるコーズマーケティングの形態をとった場合を想定している。
(ボルヴィックの1L for 10Lを想像して頂くとわかりやすいはずだ)

1.顧客(Customer)
まずは、途上国に衛生的な水を届けるために、誰を顧客としたビジネスを展開するかを考える必要がある。
ここでは、ミネラルウォーターメーカーとの協働を思いついたと仮定する。
すると、ミネラルウォーターを誰に買ってもらうか、と言う事を定義すればよい。

記入例)ヘルシー志向の強い女性。特に今回のソーシャルビジネスでは、社会貢献に興味・関心のある層をメインターゲットとする。

ソーシャルビジネスにおいて企業と協働する場合、”社会問題の解決”は、「顧客」にとっても価値あるものになるはずだ。
ヘルシーに喉の渇きを癒す単なるミネラルウォーターが、途上国に衛生的な水を届けるという別の価値を持つことで、これまでとは異なる次元で顧客へ訴求することが可能となる。
この「価値」については、次の「2.提供する顧客価値」で詳しく述べていく。

2.提供する顧客価値(Customer Value Proposition)
提供する顧客価値とは、「1.顧客」で定義した顧客セグメントに対して、どのような価値を届けるのかということだ。ここでは、ミネラルウォーターがどのような価値をもたらすのかを考えればよい。

記入例)ヘルシーかつ、適時に喉の渇きを癒す為のペットボトル入りミネラルウォーター

ただ喉の渇きを癒すだけであれば、炭酸飲料でも良いし、フルーツジュースでも良いはずだ。
ここで顧客が求める価値とは、例えば糖質やカロリーを低く抑えつつ、喉の渇きを癒したいということだ。

さらには、据え置きのウォーターサーバーではなく、持ち歩き可能で、のどが渇いたときにいつでも飲める、ということも重要な価値だ。
よって、「ヘルシーかつ適時に喉の渇きを癒す」という価値を提供する為に、ペットボトル入りミネラルウォーターを販売することになる。

ここまでは、いわゆる「ビジネス」の話だ。今回はこれに加えて、ソーシャルビジネスとしての側面を考慮に入れる必要がある。ソーシャルビジネスにおいては、単にヘルシーかつ適時に喉の渇きを癒すだけではなく、異なる次元の価値を顧客へ訴求することが可能となる、と先ほど述べた。

もちろん、顧客はミネラルウォーターを購入することで、途上国の水問題解決に貢献することを、広告宣伝、口コミ、店頭のPOP等で知ることになる。

自らのミネラルウォーター購入という行動により、社会問題解決に寄与することで、顧客はその商品、ひいてはその商品を作る企業に共感し、自らの購買行動に”渇きを癒す”以外の意味を見出し、精神的充足を得ることが可能となる。

余談になるが、コトラーが「マーケティング3.0」で述べたように、これからのマーケティングでは、社会のパラドクス(=社会問題)を解決することが、顧客にとっての価値となる。

また、顧客は金銭的な価値よりも、より精神的な価値を重視する傾向が強まっていく。
「マーケティング3.0」では、これらを”文化マーケティング”、”スピリチュアルマーケティング”と定義している。
(詳細はフィリップ・コトラーの「マーケティング3.0」を是非お読みいただきたい)

これらの側面を考慮に入れると、先ほどの記入例は以下のように修正されるはずだ。

記入例)ヘルシーかつ、適時に喉の渇きを癒す為のペットボトル入りミネラルウォーター
自らの購買行動により、途上国の水問題解決に寄与することが可能となる、ミネラルウォーター

要するに、顧客にとって自分の購買行動が”誰かの為になる”ことが、「価値」と呼べる時代になってきたと言っても良い。
ソーシャルビジネスをデザインする際には、このように、顧客にとって社会問題へのチャレンジがどのような意味を持つのかを十分考慮しなければならない。

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