TCAP’s Point of View #3 / 社会起業家に求められる”問題の構造化アプローチ” – 「社会問題ツリー」を活用する | TCAP SOCIAL BUSINESS REVIEW online

TCAP’s Point of View #3 / 社会起業家に求められる”問題の構造化アプローチ” – 「社会問題ツリー」を活用する

TCAP, ビジネスモデル/戦略/組織
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手法からではなく、まずは社会問題に正面からぶつかる
本コラムでは、これまで社会問題に取り組む様々なNPOや企業を紹介してきた。
彼らが取り組む社会問題やその解決アプローチは様々で、どれも非常に創造的・革新的なものばかりだ。
コラムで未だ紹介しきれていない素晴らしいNPOや企業は他にもたくさんある。

例えば、社食や学食でヘルシーメニューを提供し、その売上の一部を使って途上国で給食を提供するプログラムに取り組むTable for Two.
ただ単純に寄付金を募るのではなく、ヘルシーメニューを食べた人にも健康になってもらいつつ、一方で途上国の子供たちにも給食を食べて健康になってもらう― 先進国の健康問題、途上国の食糧問題の二つの社会問題に同時に取り組むモデルはまさに革新的だ。

また、本コラムでも既に紹介したFreewaters.
おしゃれなサンダルを販売し、その収益の一部で途上国の水問題解決に取り組む手法は、革新的と言える。

このように創造的かつ革新的な社会起業家を見ると、その社会問題解決の手法に目が行きがちだ。
しかし、何かおもしろい、革新的な手法はないか、という視点が先行すると、社会起業家の本来の目的である「社会問題の解決」がおろそかになる可能性がある。
自分はどんな社会問題に取り組みたいか、そしてその社会問題はどのように解決すればよいのだろうか、といった問いを自分自身に投げかける必要がある。

もしあなたがデザインのスキルに優れていて、デザインで何か社会に貢献したいと考えたとしよう。
マザーハウスのように途上国で何らかのファッション製品を生産して、自分がそのデザインを担当し、日本で販売すれば、途上国の人々の自立につながるし、まさに社会起業家だ!

で、どこの国でやろうか…

こんな思考に陥ると危険だ。

もちろん、この後、A国、B国、C国が候補として挙がり、それぞれの国がどんな社会問題に困っているのか、それは本質的にどのような事が問題となっていて、
どのように解決すれば良いのかを真剣に考えることが出来ればまだ良いのだが、社会問題解決の手法(この例では「ファッション製品の生産・販売による社会問題解決」)が先に立ってしまっては、本当に解決すべき問題ではなく、その手法で解決可能な範囲の問題を探してしまうような、本末転倒な自体に陥りかねない。

ある社会問題を真剣に解決したいと考えるのであれば、その社会問題の本質は何か、何が問題なのかといった問いに、まずは真正面からぶつかる必要がある。

今現在、何らかの社会問題に取り組まれているNPOや企業の担当者の方にとっても、改めて自分たちが取り組んでいる社会問題の本質的な問題は何か、どのような問題の構造になっているのか、自分たちの取り組み・プログラムはその社会問題を構成する要素のうちどの部分に効いているのか、と言った問いを自分自身にぶつけることで、自社の取り組みの意味を改めて認識すると共に、場合によっては事業の方向転換を図ったり、新規事業を立ち上げるきっかけになるのでは、と考えている。

TCAPが社会問題解決のアプローチの一つとして有効と考える手法は、「社会問題ツリー」による問題の構造化だ。まずは、自社・自身が取り組みたい社会問題を定義し、その社会問題がどのような構造になっているかを明らかにする。

そして、その問題構造の中で、どの部分に取り組むかを決定する。
これが「社会問題ツリー」による社会問題解決のアプローチだ。

このアプローチの出発点は、「自分が取り組みたい社会問題は何か」という問いだ。
これが定まらないと問題解決は始まらない。もし、あなたが前述の例のように、「デザインで何か社会貢献したい」といったように、まず手法を思いついてしまった場合でも、この原則は変わらない。
その手法で解決したい社会問題を定めた後、一旦”デザイン”という手法から離れて、社会問題ツリーによる”社会問題の構造化”を進めよう。

この社会問題の構造化は、非常に難しいプロセスであることを先に述べておきたい。

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