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WORLD BICYCLE RELIEF / 自転車が世界を変える – SPA、垂直統合に連結経営!?”自転車NPO”を支える強みとは?

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ファブレス&SPA型自転車NPO!?
WBRの特徴の一つは、デザイン~整備、プログラムの評価まで、垂直統合された事業形態と言える。
ただ一つ、部品の製造はアジアのサプライヤーが行っているとのことなので、”ファブレス型・SPA型自転車NPO”と言っても良い(自転車の組立はWBR管轄なので、完全ファブレスとも言い難い…)。

ちなみにSPA(“Speciality store retailer of Private label Apparel”、アメリカのアパレル大手GAPの会長が自社を指して言ったもの)とは、商品の企画・生産から販売までを垂直統合したモデルを指し、ZARA、H&Mなどファストファッションと呼ばれる企業がこれにあたる。
またApparel企業ではないものの、家具のニトリも”製造小売業”と呼ばれ、垂直統合モデルを採用している。
 
ZARA、H&Mなどのファストファッション企業は、”ファブレス”と言って自前の工場を持たず、商品企画・販売に注力し、消費者の声や動向をいち早くとらえてスピーディーに次の商品を企画・投入していくところに強みがある。
 
WBRは少なくとも、スピーディーに新たな自転車を投入していく必要はないが、ファストファッション企業と同様、現場のリアルな声、状況を把握して、次のプログラムに反映していくことは非常に重要と言える。WBRが自転車を提供するだけで終わらずに、目指す社会的目標(出席率向上、生活水準向上等)が達成されているかをしっかりと観察し評価することで、次のプログラムにつなげる事が出来る。

WBRは自転車のディストリビューションにおいて、他のNPOの協力を得ているようなので、完全とは言えないまでも、既製の自転車をかき集めるのではなく自社でデザインすること、自転車を提供しっぱなしにするのではなく整備にも責任を持つこと、何よりプログラムの目標が達成されているかを最後まで評価していることから、垂直統合モデルと言って良い。

もう一つの特徴はNPOによる連結経営
垂直統合、SPA、ファブレス… これまで、日本ではおよそNPOと結びつけて考えることが無かった言葉でWBRを説明してきたが、もう一つ重要なポイントがある。
それは、”連結経営”だ。

既に触れたように、WBRは全額出資の自転車販売会社を持っている。この会社はNPOではなく、あくまで営利企業だ。顧客は主にアフリカで活動する非営利組織で、Buffaloの自転車を必要としている団体だ。
 
非営利組織であるWBRが子会社を設立するという構図そのものが、日本ではまだ珍しい形態だが、アメリカでは(十分な統計がないものの)、日本よりもNPOが営利の子会社を保有するケースは多いと言われており、寄付だけに頼らない収益構造を支えている。
  
先に述べた通りWBRの自転車販売収入は全体の31%に上り、寄付だけに頼らず、子会社を含めた連結経営でグループ全体で最適化を図っていると言える。NPOにおいても、寄付や助成金に頼らず、収益事業を行うことで事業の持続性を求め、より大きな社会的インパクトを生み出すことは、非常に重要なこと。

WBRはその成功モデルの一つと言って良い。特にこのWBRの子会社が社会的企業として成功している点もポイントで、単に収益事業であれば何でもいいという訳では無く、NPOにおける収益事業はあくまで社会的な価値を生み出す為の事業であることが重要だ。
 
WBRは2005年に設立され、2011年連結で6,640,634ドルもの収入を得ている。この急成長は、ここで紹介した独自の戦略が支えているのかも。
ホームページから寄付や、グッズの購入も可能。また、活動の内容もかなり詳細に知ることができる。
WORLD BICYCLE RELIEF
 
*文章は一部WBRのホームページを基に作成。
 
(文/五十嵐裕一)



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